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最高裁判所第二小法廷 昭和58年(オ)583号 判決

上告人

有限会社串太郎

右代表者清算人

小平正文

上告人

小平正文

右両名訴訟代理人

鈴木保

立木恭義

被上告人

千葉県

右代表者知事

沼田武

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人鈴木保、同立木恭義の上告理由第一について

土地区画整理法一〇〇条の二の規定により施行者が管理する土地については、施行者は、所有権に準ずる一種の物権的支配権を取得し、右土地区画整理事業の目的にそつて維持管理し、又は事業施行のために必要な範囲内において第三者に使用収益をせしめることができるものと解すべきものであるから、第三者が権原なくして右土地を不法に占有する場合には、これに対し右物権的支配権に基づき右土地の明渡を求めることができるものと解するのが相当である。右と結論を同じくする原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第二について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(牧圭次 木下忠良 鹽野宜慶 宮﨑梧一 大橋進)

上告代理人鈴木保、同立木恭義の上告理由

第一 原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背がある。

一 原判決は、土地区画整理法第一〇〇条の二に規定する「管理権」について、管理権に基づいて妨害排除を求めることができると解するのが相当であると認定している。

二 しかしながら、同法第一〇〇条の二に規定される「管理権」は、同条の法文上及び他の条文の規定からも明らかなとおり、「仮換地に指定されない土地」に関する使用、収益について管理するだけの権限を規定していること明らかである。

それは単に土地に関する使用と収益についての管理権限であり、妨害排除等の物権的請求権までも内容としているものではない。

三 同法第一条に規定される「健全な市街地の造成を図りもつて公共の福祉の増進に資する」ためには、同法第一〇〇条の二に規定される「管理権」には、「仮換地に指定されない土地」に関する使用、収益について管理するだけの権限を認めれば十分である。

第二 〈省略〉

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